紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
連絡先:kiikankyo@zc.ztv.ne.jp 
ホーム メールマガジン リンク集 サイトマップ 更新情報 研究所

 <紀伊半島の巨木を訪ねる>

 奈良県東吉野村瀧野 白馬寺/水分神社の大ケヤキ(伐採)

 三重県側から国道166号線を走り、奈良県境にある高見トンネルを通ってしばらく行き、右折して県道28号線に入る。平野川沿いに走ると、平成12年に開業した東吉野村営の「たかすみ温泉」が右手に見える。さらに、ログハウスの立ち並ぶ別荘地帯をぬけ、杉木立の中の狭い道をしばらく走ると、瀧野の人家が見える。「投げ石の滝」の標識があるので、その方向に行くと、すぐに、小さいな水分神社が目にとまる。鳥居と小さな社に似合わず、社のすぐ裏にケヤキの巨木がそびえていた。ケヤキもこんなに巨大になるのかと驚く。

 このケヤキの巨木は、樹齢約1000年、幹回り6.5mで、枝振りは南北20m、東西17mある。東吉野村指定の文化財(天然記念物)である。


このけやきの巨木は、2008年2月10日に伐採されていた。(以下、2013年6月21日に記す)

 
昨日(2013年6月20日)に、「kiikankyo」を検索していたところ、奈良県東吉野村の白馬寺のけやきの巨木が伐採され、座卓に変わっている記事が出てきてショックであった。
http://ameblo.jp/lien-house1/entry-11547487099.html

 
この大けやきについて本ホムページに掲載したのが2007年2月10日であり、奇しくも、伐採されたのが、ちょうどその1年後の2008年2月10日であったようだ。
http://www.wood.co.jp/web/web/web-w2184.html

 
この大けやきは伐採される9年前の1989年3月に東吉野村の指定文化財(天然記念物)に指定され、その時の掲示板には「樹勢良好」と書かれており、また、2005年5月に撮影された写真では、枝は新緑の葉を付け、枯れそうな風情は見られない。上記の新聞記事にあるような約10年前から急激に樹勢が衰えたということがすぐには飲み込めない。
http://jppapin200.exblog.jp/7982833/
http://www.geocities.jp/ir5o_kjmt2/kigi/keyaksui.htm

 四国地方で大きな問題となっていることは、ご神木とされているような巨木の幹に孔を開け除草剤を注入して枯らしてしまい、その伐採を持ちかけて荒稼ぎする神罰も恐れない悪質業者が跋扈していることだ。
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2012/11/1126.html
 これは林業の衰退が要因などというよりも、犯罪行為そのものであるので(他人の器物・持ち物の損壊)、そのような行為が出来ないように、巨木が急に枯れた場合などには、警察が伐採前に検証(除草剤注入箇所、樹木内の除草剤残留検査:極く微量でもガスクロマトグラフィーなどで検出可能。枯死前後に伐採を持ちかけた業者の調査。伐採業者、販売先の業者(加工等)の競争入札。入札し落札した伐採、加工、販売、流通業者等の名前の公表と、巨額の利益を挙げた業者に対する調査など)を行うことを常とすべきだろう。老人が自宅の風呂場で亡くなったというだけで警察の検証が行われるではないか。県、市町村役場や、神社・寺などの巨木の所有者、地元住民は、数百年以上にわたって世話を続け、愛してきた郷土の巨木が急に変な枯れ方をした場合には、悪徳業者の跋扈を許さないために、必ず警察に検証してもらうようにすべきだろう。このことが、悪質業者に対する抑止効果に繋がることになる。また、樹勢が衰えて来たときには、早めに樹医に相談して、応急手当をし、樹木を枯らすような細工がなされていないことのチェックも合わせてすべきだろう。

 

(写真をクリックすると拡大します)
奈良県東吉野村瀧野の大ケヤキの幹 大ケヤキの幹。樹皮がはげ落ち、残った部分は苔むして、老木の風格を感じる。
東吉野村瀧野の大ケヤキの2本の大枝 下から見上げた幹。2本の大枝が伸びている。2本の枝にはそれぞれ金属の輪がはめられ、その間をワイアで繋ぎ、枝が裂けないように支えられている。
東吉野村瀧野水分神社の社の後の大ケヤキ  小さな社のすぐ裏に大ケヤキが生育している。水分神社というけれども、大ケヤキをまつってあるようにも思える。すぐ近くに、「投げ石の滝」があるので、「水分神社」が設けられたのであろう。
東吉野村瀧野の水分神社の大ケヤキの石碑 「千年の欅や杉や」と書かれた割合新しい石碑が置かれている。
東吉野村瀧野の水分神社の裏手の大ケヤキ 水分神社の社の後ろに、大ケヤキの2本の大枝が見える。

「紀伊半島の巨木を訪ねる(巨木リスト)」へ
「ホーム」へ